(1)ミニストリー(Ministry)
シェーカーの宗教的な指導について最終的な責任をもつ男性または女性のことを指して「Ministry」という。複数の共同体ごとに男女二人ずつで担当していた。それぞれのファミリーの長である長老に比べて、宗教的および俗世的な管理について高度な役割があった。本ゼミでは「ミニストリー」と訳した。
出典:Stephen.J.Paterwic, Historical Dictionary of the Shakers, Scarecrow Press, 2008, pp.206-207
(2)マザー・ルーシー
ルーシー・ライト(Lucy Wright, 1760-1821)は実在した女性教徒で、指導者の立場についていたという記述が残されている。同じ指導者の立場にあったジョセフ・ミーチャムと二人で10年にわたって教会を率い、1796年にジョセフ・ミーチャムが他界した後は、マザー・ルーシーが25年間トップの立場で教会を率いた。ジョセフ・ミーチャムとルーシー・ライトは米国で生まれた最初のシェーカー教指導者であった。
出典:リチャード・T.シェーファー, ウィリアム・W.ゼルナー『脱文明のユートピアを求めて』(筑摩書房, 2015) p.158
(3)ブラザー・ベンジャミン
ベンジャミン・セス・ヤングス(Benjamin Seth Youngs,1774-1855)は、19世紀初頭にオハイオやケンタッキーで布教活動を行った、最初期のシェーカー教宣教師。1805年から約20年間オハイオ州の共同体で生活し、長老の役目以外に、時計工や機械工としてはたらいた。シェーカー教の神学を文書で記した “The Testimonies of Christ’s Second Appearing”(1810)の著者の一人。
出典:Stephen.J.Paterwic, Historical Dictionary of the Shakers, Scarecrow Press, 2008 p.343
(4)トラスティー(Trustee)
シェーカー教の共同体において、外部との取引や財政管理を担った役職。財産運用係という側面から、コミュニティの持続性にも大きな影響力を持っていた。
出典:Stephen.J.Paterwic, Historical Dictionary of the Shakers, Scarecrow Press, 2008, p.297
(5)種子産業
18世紀の終わりから、様々な種類の野菜の種が複数のシェーカー・コミュニティで独立して作って売られるようになった。その売り上げがシェーカー・コミュニティの収入の大部分を占めていた。田舎の市場を相手にしていたので、19世紀中頃に輸送手段が発達したことで競争力がなくなり衰退した。
出典:Laura Paine, Hand to Work, Hearts to God: The Story of the Shaker Seed Industry, 1993, p375
(6)ノヴィシエイト(Novitiate)
シェーカー・コミュニティに入ったばかりで、シェーカーの生活を試している成人のことを指す。18歳以上の者は俗世から離れる契約書に署名することで、コミュニティの恩恵を受けることができた。また、ノヴィシエイトのメンバーでもミーティングに参加すること、日々の労働を行うことは必須であった。
出典:Stephen.J.Paterwic, Historical Dictionary of the Shakers, Scarecrow Press, 2008, p.41
(7)ジュニア・オーダー(Junior Order)
チャーチ・オーダーに加入する契約をしていないシェーカー教徒たちが属するギャザリング・オーダー(Gathering Order)のうちの一段階を指す。ジュニア・オーダーには、試しにシェーカー教の生活を体験しようとする段階の人々が所属し、俗世との関係を断ち切る義務はなかった。しかし、この語の正式で明確な定義は残されておらず、シェーカー教のなかでどれだけこの語が一般的なものであったかは不明である。
出典:Stephen.J.Paterwic, Historical Dictionary of the Shakers, Scarecrow Press, 2008, p.170