第1章
私の名前はレベッカ・ファウラー。子ども時代を(1)ディックス川支流の(2)ハンギング・フォークに位置する(3)リンカーン郡で過ごした。…
小説 『The Believers』1957 翻訳プロジェクト
早稲田大学建築史中谷礼仁研究室 The Believers ゼミは、18 世紀の後半、イギリスからアメリカに渡り独自の生活を築いたシェーカー教の姿を描いた歴史小説『The Believers』の邦訳を行い、また彼ら独自の考えを実践した生き方を2017 年から 2020 年にかけて研究してきました。
本 website では、The Believers ゼミがこれまで邦訳を行ってきた小説『The Believers』の邦訳文を掲載しています。
それに加えて、当ゼミによる訳註や、さらに研究の必要のあった事象についての研究成果を公開します。これらを併せてご覧いただくことで、小説の内容のみならずその背景にあった事柄や、より詳細にシェーカー教が暮らした様子を知ることができます。
Janice Holt Giles, The Believers, Houghton Mifflin Company, 1957
18世紀末から19世紀初頭のアメリカ合衆国、ケンタッキー州を舞台に、開拓者の娘として、そしてシェーカー教の一教徒として、開拓時代の最中を生きる主人公を描いた作品。
著者であるGilesによるシェーカー教に関する調査をもとに、当時の暮らしが小説の中で鮮やかに再現されている。
シェーカー教は1747年にクエーカー教から分裂したプロテスタントの一派である。「シェーカー(Shakers)」とは、彼らの激しく身体を震わせる礼拝の様子から呼ばれるようになった俗称である。
シェーカー教における教義は、主に四原則である禁欲、財産の共有、罪の告白、そして俗世からの離脱に見ることができる。そのコミュニティや家族のあり方に対する考え方が、生活に溶け込んだ毎日の労働や礼拝と、そのために利用される道具や家具、建築における洗練された特有のデザインや技術へと飛翔した。
画像出典: The Archives & Research Center, Canterbury Shaker Village
私の名前はレベッカ・ファウラー。子ども時代を(1)ディックス川支流の(2)ハンギング・フォークに位置する(3)リンカーン郡で過ごした。…
リチャードは首尾よく計画を進めた。彼は計画を細心の注意を払いながら意欲的に進めていた。 リチャードとサンプソンは、その年の秋と冬のあいだに家を建て…
私はリチャードと四月に式を挙げた。そして秋には、私の心も新しい生活に慣れ始めていた。私はレヴィット氏とジェイニーはうまくやっていけるだろうと思った。…
「ねえ」ある日、私はジェイニーに尋ねた。結婚式がどんどん間近に近づいている時だった。「結婚式を誰に執り行ってもらうの?」 ジェイニーはいらいらした…
私たちがギャスパー・リバーの集会場に着いた時には、すでにたくさんの人々が集まっていて、こんなに大きな群衆を見るのはレキシントンに行った時以来のことだ…
リチャードの決断に、私たちの家族が反対するだろうことはわかっていた。案の定、リチャードは帰ってすぐに自分のしようとしていることを父親に説明することに…
ビリーバーズと出会う前の日々のあらゆる出来事を思い返すことは、もはや無意味である。私たちは熱心に働き、リチャードは、農場がしっかりした価値のあるもの…
もちろん、それは間違っていた。リチャードには、正しいと思うことを行動に移す意志だけでなく、絶対にやり遂げる力がある、そのことを私はよく知っていたはず…